一口に『ファッションデザイナー』と言われると、とても自由でクリエイティブな職種を思い浮かべる方が多いかと思います。
実際にはクリエイティブなデザインをしているデザイナーは一部のブランドデザイナーだけで、企業のデザイナーは地味な業務も多く制限が多いこともあります。
ここでは私が企業デザイナーとして働いていて、携わった業務についてまとめました。
会社によってどこまでが誰の仕事になるか、仕事の内容や周期が変わってきますが、デザイナーを目指している方は、参考にしていただけるといいかと思います。
<市場リサーチ>
市場やコレクションなどから次のシーズンの流行型をリサーチします。
その年の売れ筋や売れ始めのアイテムは次の年も流行が続く場合が多いので、ディティールを変更したり生地を変えたりしてリピートします。
新しいアイテムでまだ統計が取れていないものは、市場の動向を見るためシーズン初めに少し作って販売し、売れれば増産をします。
量産して店頭販売が始まるまでに6ヶ月くらいはかかるので、遅くてもシーズンが始まる半年前には企画を始めなくてはいけません。
売れる時期を逃すと在庫が余ってしまうので、トラブルや納期遅れなどの可能性も考慮して早めに企画を進行していきます。
展示会などでお客様に発表してから生産位入る場合はさらに早いスケジュールになります。
<企画map製作>
リサーチを元に商品を構成して提案用のマップを作ります。
シーズン毎にどのアイテムを何型作るかがだいたい決まっているのでデザインを厳選していきます。
最初に提案する段階ではイラストや写真での提案をする事が多いです。
<デザイン提案>
アイテムが決まったらデザインを提案します。
デザインが通ればサンプルを作ってさらにそこから売れそうな商品を厳選したり、デザインに修正を加えていきます。
<商談・展示会>
小売の場合はサンプルが上がったら生産枚数を決めるため、お客様との商談に入ります。
ブランドなどの生産チームは展示会で発表し、反応を見て何をどのくらい作るかを決めます。
実際の商品を見て数量を決めてもらったり、感想をいただくので、サンプルは現物生地、現物付属で全て揃えなくてはなりません。
商談の際に使う資料やテーマなどを理解してもらうために、展示会の企画マップなども作ります。
<柄・刺繍柄作成>
デザインにプリントや刺繍の柄などが入っている場合は、工場に指示するためにイラストレーターなどで柄を作成します。
刺繍は型紙のサイズに合わせて作成し、刺繍糸色を添付して工場に提出します。
プリントはデーターや紙にプリントして提出しますが、プリント方法やプリントする生地によって色が変わってしまうので現物生地にプリントした色見本を送ってもらって微調整します。
<素材の選定>
使う素材を決めていきます。触り心地がいいもの、流行のものなどデザインにあったものを探します。あと加工をする場合はその加工に耐えうるか、適しているかなども考慮して選定します。
サンプル生地を工場に送って作ってもらったり、韓国や中国の工場に直接訪問して探すこともあります。
<付属の選定>
ボタンやレース、テープなどの副資材を選んで決定します。
デザインで選ぶだけでなく、色落ちや割れなどの不良が出ないか、金属ボタンは検針器にかかってしまったりすることもあるので検針対応かどうか調べたりする必要もあります。
<サンプルチェック>
パタンナーとサンプルのチェックをします。
サイズ感や動きやすさ、シルエットなどを見て修正を加えます。
工場が指示通りに縫っていなかったり、型紙を変えていたりすることもあるので正しく指示通りに上がっているかなども見ていきます。
<仕様書作成>
色展開や生産枚数、付属の用尺や製品につけるタグの情報などを打ち込みます。
会社によって決まったフォーマットがあるので内容に従って入力していきます。
<使えると役に立つソフト>
・Illustrator
デザイン画を書いたり、柄を作ったり、商談資料を作ったりする際に使います。
Tシャツの柄デザインや、生地柄のデザインで高度なスキルが求められることもありますが、一般的なデザイン画を書くだけならばそこまで難しい操作ができなくても大丈夫です。
・Photoshop
サンプルの写真を使ったマップや、ホームページなどを作ったりする場合に必要になります。
私はあまり使うことはありませんでしたが、できるに越したことはないと思います。
・Excel
仕様書や資料をExcelで作る場合があります。
特に営業は在庫管理表や生産管理表をExcelで資料を作るので、社内で共有する資料などはExcelを使う事が多くお仕事をしていく上で必須スキルになります。
<取っておくと役に立つ資格>
・色彩検定
カラーコーディネートについての知識です。
イラストレーターやフォトショップを使う際にも役立ちます。
・パターン検定試験
デザイナーでも型紙の基本を知っていると提案がしやすくなります。
基本程度でもいいので勉強しておくといいかと思います。
・ポートフォリオ製作
資格を紹介しましたが、実際に見せられるポートフォリオがある事が一番大きいかと思います。
学生の方は自分で考えて作った企画のマップや、学校で作ったお洋服の仕様書などアピールできるものを揃えておくといいと思います。
コメント