毛には、羊毛と獣毛(カシミヤ、アンゴラ、モヘヤ、アルパカ、キャメル、など)があり動物繊維の一つです。
一般的に『ウール』とは羊毛の事を指し、獣毛は『ヘアー』と呼ばれます。
ウール中でも羊の種類によって毛質が異なり、繊維の細さによってランク分けもされています。
洋服に使われるウールはほとんどがメリノ種で、最高の品質を誇り、羊毛のなかでも細く繊細な繊維が取れる種類として有名です。
世界最大の生産国はオーストラリアで世界中の40%のウールが生産されていて、そのうち70%がメリノ種です。
〜ウール繊維の作り方〜
刈り取られた羊の毛はフリースと呼ばれます。
このフリースから毛を選別し、良質なものを石鹸とソーダで洗い、脂・石・砂などを取り除きます。
洗いあがった羊毛を乾燥させ、絡まないように油をかけながら機械(カード機)に通して繊維を1本1本にほぐします。
これを紡いで撚ることでウールの糸ができ上がります。
〜繊維の構造〜
羊毛はケラチンと言う蛋白質で構成されています。
表面はうろこ状でこれをスケールと言います。
内側の皮質部分はコルテックスと呼ばれ、スケールがコルテックスを保護しています。スケールの表面は水をはじく性質があり、コルテックスは吸湿性があります。
コルテックスは2層構造になっていて、吸水性のよい層と低い層に分かれているため、繊維にクリンプという独特の縮れが生まれます。
〜ウール素材のメリット〜
・保温性が高い
繊維のクリンプがしっかりと空気を含み、外との間に空気の層をつくります。
この空気の層が断熱材となり、外気の寒さを防いでくれます。
熱伝導率も低いため外気が伝わりにくく保温性が高いです。
・夏にも涼しい
保温性が高い理由と同じで、空気の層が断熱材となり夏には外気の暑さもを防いでくれます。
熱伝導率が低いので外気が伝わりにくく夏には涼しく着られます。
・撥水性があり、吸湿性がある
ウールには外気の変化に応じて、湿気を吸収したり放出したりする呼吸作用があります。
さらにスケールの外側を覆っている薄い膜は、湿気を吸いますが水滴ははじくという特殊な性質を持っています。
・汚れにくい
保湿性が高いため、人が体から発散する水分をウールは繊維内に包含します。
そのため静電気防止効果があり、水を弾く機能と相まって汚れが付着しにくい構造になっています。
・シワになりにくい
ウールは弾力性があり、シワになりにくい素材です。
シワができてしまっても回復力が高いので、蒸気を当てると簡単に戻ります。
〜ウール素材のデメリット〜
・毛玉ができやすい
繊維の表面を覆ううろこ状のスケールがからみやすく、毛玉になる原因になっています。
お洋服の場合、着用後は痛んでかや見やすくなっていますので、長く着用するためにブラッシングすることをオススメします。
・フェルト化する
スケールは濡れると開く性質を持っていますので、濡れた状態でこすったり揉んだりすると繊維同士が強く絡み合いフェルト化します。
洗濯の際は強く洗い過ぎないように注意してください。
・虫に食われやすい
ウールの繊維はタンパク質でできており、そのため虫食いが起こります。
衣服についた食べこぼしなども害虫の餌になりますのでしまう際にはしっかりと汚れを落とすのも虫食いを予防する方法の一つです。
害虫は湿気を好みますので、洗ったウールのお洋服は、天日に干してしっかりと乾燥させてください。
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