シルク(絹)は蚕の繭を製糸した動物繊維です。
シルクの歴史は古く、最高の衣料素材として扱われてきました。
当時、その存在は大変貴重なもので、金品とも交換されていたそうです。
近年の研究で絹が人の皮膚と近いアミノ酸で作られているということが解明し、お肌や健康にもいい素材として取り上げられています。
〜シルク繊維の作り方〜
シルクの繊維は蚕の繭から繊維を引き出して生成されます。
繭から取れた糸そのものを『生糸(きいと)』と呼び、アルカリ性の薬品で生糸の外周部を覆っているセリシンというタンパク質を取り除いたものを「絹糸」と呼びます。
蚕は繋がった糸を吐き出すので、シルクは天然繊維の中でも繊維が最も長く、長繊維(フィラメント糸)に分類されます
〜繊維の構造〜
蚕の糸は2本のフィブロインというタンパク質の繊維からできており、周りをセリシンというタンパク質の潤滑油で覆われています。
フィブロインは繊維の断面が三角形になっていて、この形が光を屈折し、光沢感が生まれます。
〜シルク素材のメリット〜
・肌触りがよく、肌に優しい
人の肌に近いアミノ酸で構成されており肌に優しく、長繊維の表面は滑らかで滑りがいいので肌触りがとてもいいです。
・夏は涼しく、冬は暖かい
シルクは吸水性が高く、身体の表面から放出された水分を吸収して、生地の外側に放出する性質を持っています。
この効果で肌表面の温度を一定に保つことができ、 夏の暑い時に汗をかいても肌表面は絹の吸湿性によりさらっとして涼しく感じます。
冬は肌表面から体温が逃げようとするのを繊維の隙間に熱を保持して防いでくれるので暖かいです。
・光沢があり、染色性がいい
三角形の繊維が光を屈折させてくれるので上品な光沢があり、染料との親和性が強いので染まりやすく美しく発色します。
・静電気が起こりにくい
保湿性が高いので静電気が起こりにくいです。
〜シルク素材のデメリット〜
・太陽光で変色する
絹を構成しているフィブロイン中に含まれているアミノ酸は、空気中の酸素や紫外線によって酸化・分解を受けてメラニンに変わります。
人間の日焼けと同じで生地も黄変してしまうので、保管する際は陽の光が当たらない所に置いておきましょう。
・シミができやすい
水に弱く、部分的に水分を含んだ状態で放置しておくと水染みになります。
これは濡れた部分の繊維が変化して、光の反射の仕方が変わってしまうことによって起こる現象です。
自宅でのケアは難しいので、水シミができてしまったら速やかにクリーニングに出すようにしましょう。
・摩擦に弱い
シルクはとても繊細で、擦れに弱く特に濡れていると強度が低下します。
洗濯の際は強く擦ったりしないように注意してください。
・虫に食われやすい
繊維がタンパク質で構成されていますので虫食いが起こりやすいです。
衣服についた食べこぼしは害虫の餌となり、虫食いの原因になりますのでなりますので、しっかりと汚れを落として保管するようにしてください。
防虫剤も一緒に入れておきましょう。
コメント